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投入堂と、恩師の慰労会

6月上旬の週末、奈良県橿原市で小学校時代の恩師の定年慰労会に出席したついでに、鳥取県の三徳山三佛寺投入堂を訪ねてきました。

奈良県と鳥取県…。
離れているように感じるかもしれませんが、橿原市と三徳山の直線距離は200キロ。微妙な距離ですが、東京から見ればともに西のほうにあるわけで、私的には「ちょっと足を延ばした」感覚でした。

それで実際の順番としては、投入堂のほうを先に訪れました。

投入堂は知る人ぞ知る名建築で、私は15年ほど前に赤瀬川原平さんが書かれた美術評論を読んで、その存在を知りました。
「いつかは行きたい」と思っていたものも、鳥取県にはなかなか行く機会がなく、今回、やっと訪れることになったのです。

まず、本堂まで階段を登り、入山の手続きをします。
ここから投入堂までの道のりは、傾斜60度はある崖のような斜面を、木の根や鎖を伝ってよじ登り、時には岩に足を掛け、別の岩を掴んで登るといった、「修行」のような難路が随所にあります。

RIMG0523.jpg
(ハイキングコースとは、異質の険しさ)

本堂脇の入山受付から、50分か1時間くらいかかって、ようやく投入堂に到着します。

RIMG0501.jpg

写真では上手く表現できないのですが、投入堂は思っていたのよりも、ずっと大きかった。
底柱の一番低いところから、屋根の頂まで、たぶん全高15メートルもないと思うのですが、崖のなかに、足場を組むスペースもないのに、いったいどうやってこれだけの建物を建てたのでしょうか。しかも建造は平安時代後期だと言うのです。

平安時代から、風雪に耐え、地震にも耐えて、よく現存していると思います。
今で言うと東京スカイツリー並み、時代を考えるともっとすごい建築技術です。

ここは、昭和期を代表する写真家だった土門拳さんが「日本第一の名建築」と称賛したそうですが、世界69ヵ国を歴訪した旅マニアの私も「マチュピチュや縄文杉レベルの、超一級の絶景」と、太鼓判を押したくなります。
私の感覚では、世界遺産制度創設の発端となった、エジプトのアブシンベル神殿より、こちらのほうが素晴らしい。

いやはや、灯台もと暗しでしたね。
日本に、こんな絶景があったとは…。

皆さんも、機会があれば訪ねてみてください。

1年に1人は登山中に死者が出て、私が行った1週間前にもヘリコプターで搬送された負傷者がいたそうですが、命をかけても行く価値はあると思います。

で、日曜日は奈良に移動して、昼から恩師の定年慰労会です。

島田先生という、小学6年生のときの担任だったのですが、当時の私は先生に「お前は、何をやっても出鱈目やのう」と叱られていました。
そう言われてもあまり反省せず、その後も「何をやっても出鱈目な人間が、欠点を直して、きちんと生きてようとしても中途半端な人間になるだけ。出鱈目なのは個性だと思って、開き直って生きよう」と、胆に命じて生きてきたのです。

ところが、長い年月を経て話を聞いてみると、先生は小学校時代の私に「最後には、何とかまとめるタイプだった」という印象もお持ちだったとのこと。
言われてみると、結果的には大学を出て、なんとか社会人として仕事も続けているわけで(しかし仕事ぶりはアバウトで、最後に帳尻を合わせる傾向がある)、そういう評価も当たっていたような気がします。

RIMG0644.jpg
(前列中央が先生。向かって右後方が私)

この日は三次会まで飲んだくれ、夜行バスで東京に帰ってきました。

往路も金曜の夜行バスで東京を発ったので、足かけ3泊4日中、土曜夜のホテル1泊を挟んで、2度車中泊をしたことになります。
すると過労のせいだと思うのですが、夜行バスから自宅で着替えて出勤した月曜夜から熱が出て、火曜は発熱で欠勤(あとで有給休暇に振り替え)。

自分の年齢を考えない、無茶な強行軍でした。

そして、「何をやっても、出鱈目やのう」という先生の叱責が、耳によみがえってきたのです。

まあ、小学校6年生のときと今とで、人間は変わっていないですね。
「三つ子の魂百まで」と、いうことでしょうか?
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プロフィール

浅井潤水(じゅんすい)

Author:浅井潤水(じゅんすい)
大阪生まれ、5歳より18歳まで奈良で育つ。大阪の大学を卒業後、東京の出版社に就職。総合月刊誌、写真週刊誌、ワンテーマ・マガジン、新書、文庫などの編集に従事した後、現在は知財・契約管理部門勤務。
おもな担当書に、下川裕治『格安エアラインで個人旅行が変わる!』、鳥塚亮『いすみ鉄道公募社長 危機を乗り越える夢と戦略』、松尾貴史『ネタになる統計データ』、小篠綾子『コシノ洋装店ものがたり』、吉田友和『スマートフォン時代のインテリジェント旅行術』、坂井優基『現役機長が答える飛行機の大謎・小謎』、三浦展・菊入みゆき『職場で“モテる”社会学』、碓井孝介『偏差値35から公認会計士に受かる記憶術』、『「男はつらいよ」寅さんロケ地ガイド』、週刊「昭和の鉄道模型をつくる」、ジミー大西『トーテンくんのオーケストラ』などがある。

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