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ゆく河の流れは

「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる例(ためし)なし。世の中にある人と栖(すみか)と、またかくのごとし」

『枕草子』、『平家物語』、『奥の細道』などと並んで、日本文学史上もっとも親しまれている『方丈記』の冒頭部。
私にも、隠遁者・鴨長明の随筆『方丈記』への憧れがあります。
今年は、『方丈記』が執筆されてから、ちょうど800年目に当たるそうです。

ある時、本を読んでいると、『方丈記』に出てくる方丈(約3メートル四方=四畳半)の庵が、京都の河合神社に再現されていることを知りました。

で、所用で関西に行ったついでに、この庵を見てきたのです。

京都駅前から路線バスに乗り、「糺(ただす)の森」という停留所で降ります。

RIMG0440.jpg

新緑が美しい森を歩くこと数分、河合神社に到着します。

河合神社は、下賀茂神社の摂社で、鴨長明もこの神職の一族とのこと。

再現された方丈の庵は、上から雨雪しのぎの屋上屋が重ねられ、なんとなく雰囲気がイマイチなのですが、だいたいどういうものなのかは分かります。

RIMG0479.jpg

今までのイメージでは、折り畳みができて牛車で運べる簡易住宅ということで、キャンピングカーのようなものかと思っていたのですが、「意外に広くてしっかりしている」というのが見学後の印象。

鴨長明は50歳のときに隠棲して、62歳で生涯を閉じます。
元々は貴族で、稀代の文化人だったからできた隠居かもしれませんが、「世捨て人」としてはかなりの先達と言えるでしょう。

世捨て人に「漂流型」と「定住型」があるならば、鴨長明は「定住型」かもしれません。
私はどちらかというと「漂流型」の世捨て人志向者なのですが、方丈の庵を見ていると「定住型」もいいかもしれないと思えてきます。

河合神社を出て、高野川(鴨川の支流)の岸辺を、出町柳駅に向かって歩きます。

RIMG0490.jpg

すると川沿いに、何軒かの住宅が見えてきます。なかには学生など独居者向けの集合住宅もあるようです(写真中央上)。

RIMG0504.jpg

60代になったら、こういう小部屋を借りて(年配者は貸してもらえないかもしれませんが)、窓からゆく河の流れを眺め、山々の四季を楽しみ、好きなだけ本を読み、音楽を聴き、時々同志社や立命館に聴講生として通うのも楽しいかもしれません。

なんて、ほとんど妄想ですが…。
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プロフィール

浅井潤水(じゅんすい)

Author:浅井潤水(じゅんすい)
大阪生まれ、5歳より18歳まで奈良で育つ。大阪の大学を卒業後、東京の出版社に就職。総合月刊誌、写真週刊誌、ワンテーマ・マガジン、新書、文庫などの編集に従事した後、現在は知財・契約管理部門勤務。
おもな担当書に、下川裕治『格安エアラインで個人旅行が変わる!』、鳥塚亮『いすみ鉄道公募社長 危機を乗り越える夢と戦略』、松尾貴史『ネタになる統計データ』、小篠綾子『コシノ洋装店ものがたり』、吉田友和『スマートフォン時代のインテリジェント旅行術』、坂井優基『現役機長が答える飛行機の大謎・小謎』、三浦展・菊入みゆき『職場で“モテる”社会学』、碓井孝介『偏差値35から公認会計士に受かる記憶術』、『「男はつらいよ」寅さんロケ地ガイド』、週刊「昭和の鉄道模型をつくる」、ジミー大西『トーテンくんのオーケストラ』などがある。

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