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旅の猛者たち

サナアに入った私は、1泊目の宿を「マハナツーリズムホテル」に定めました。
ここは、日本人バックパッカーがよく利用するゲストハウス(安宿)、いわゆる「日本人宿」です。1泊1000リアル(500円)。

イエメンでの主目的地は、東部にあるシバーム。
以前にも触れましたが、「砂漠の摩天楼」と呼ばれる城郭都市です。

私が、ふだんはあまり利用しない日本人宿に泊まったのには理由がありました。
シバームまでの片道を陸路で行けないか、情報を集めようと思ったからです。

実は、サナア~シバーム間のシャブア州などは治安の良い地域ではありません。
日本人を含めた外国人観光客がしばしば誘拐されています。
ただし、誘拐されるのはほぼチャーターした4WD車で、地元の人が乗った路線バスの襲撃情報はありませんでした。

「ならば、バスで行けるのではないか」と考えたのです。

マハナツーリズムホームに宿泊していたトミーさん(日本人宿ではニックネームで呼びあうのが慣わし)が、ドバイからオマーンを通って陸路イエメン入りした途中で、シバームに立ち寄っていました。

イエメンの陸路移動には、ツーリストポリスが発行するパーミット(許可証)が必要ですが、危険な方面にはそれが発給されない確率が高い。さらにパーミットがあってもバス会社がチケットを売ってくれない場合があるそうです。

トミーさんはたまたまパーミットが取れて、バスチケットも買えたのですが、検問で何度も彼一人だけのために足止めを食い、「パーミットが出たのは、ツーリストポリスの情報不足か勘違いがあったような気がします」と話してました。
また、シバームからサナアまでは、基本的には最短の山岳ルートではパーミットが取れず、海沿いの迂回路を使うと2~3日間要するのではとも教えられました。

そういう話を聞いて、「シバームまでの陸路移動はきわめて難しい」という判断に至ったのです。「無理をして陸路にこだわると、肝心のシバームに行けなくなる可能性が出る」と。

それで、日本人宿に泊まった目的は達せられたのですが、ここに泊まっている宿泊者の話はなかなか面白かった。

「旅の猛者」が揃っていたのです。
とくにリーダー格のマサシさんは、マッサージの仕事で資金を得ながら5大陸を放浪したりボランティアをすること9年半。アフリカはビザの出なかった5カ国以外はすべて行ったことがあるそうで、修行僧のような風貌と落ち着いた話し方。私よりも10歳近く若いのですが、周囲の人を惹きつける力がありました。

この人から「サナア周辺の日帰りツアーに参加しませんか?」と誘いを受け、私は2泊目からサナア旧市街の中級ホテルに移動することを決めていたのですが、その話に乗ることにしたのです。

サナア2日目、私は旧市街のホテルに移動し、夕方、シバームまで(正確には最寄のサユーンという町まで)の航空券を買い、夜は旧市街であった結婚式を見物しました。

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翌朝、午前6時にマハナツーリズムホテルへ戻り、ツアーはスタートしました。
まずは、ワディ・ダハールを訪ねました。
ここには「ロック・パレス」と呼ばれる岩の上の奇妙な建物があります。
これは、この地域のイマーム(部族長)の別荘だったそうです。

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次いで、シバーム(前述のシバームとは別の町)とコーカバンという双子の町に。
350メートルの標高差のある両町は、敵が攻めてきたとき下の町の住民が上の町に逃げ込み、下の町は農業と商業で上の町を支えるという関係にあるそうです。

午後、岩盤の上に立つハジャラという町に向かいました。
スペインのアンダルシア地方にある、ロンダなどと似た感じの町です。

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これらの町をランドクルーザーで巡りながら、バックパッカーたちと色々な話をしました。

学生ながら無類の旅行好きで、就職を決めて秋の長期旅行に出ているマサ君。彼はなぜ生きるのか、なぜ仕事をするのか真摯な考えを持っている青年でした。

放浪しながら、人々の笑顔を撮り続けているハジメさんは、東京の某コーヒー店で1日の睡眠が4時間の激務をこなしていたそうです。私も月300時間労働を2年間続けていたことがあるので、その辛さは幾らか分かります。笑顔を撮ることが他の悩める人へのメッセージになるのか、自己回復の手段になるのかは判りませんが、頑張って旅して生きてほしいと思いました。

ツアーの後にも食事に行って、中央アジアやアフリカなど、私があまり行ったことのない地域の旅の話を聞きました。

私にはもう、アフリカ大陸を横断したり縦断したりする気力・体力は残っていませんが、未踏の西アフリカ(マリ共和国が良いそうです)や中央アジアに行ってみたいという、冒険心が掻き立てられました。

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プロフィール

浅井潤水(じゅんすい)

Author:浅井潤水(じゅんすい)
大阪生まれ、5歳より18歳まで奈良で育つ。大阪の大学を卒業後、東京の出版社に就職。総合月刊誌、写真週刊誌、ワンテーマ・マガジン、新書、文庫などの編集に従事した後、現在は知財・契約管理部門勤務。
おもな担当書に、下川裕治『格安エアラインで個人旅行が変わる!』、鳥塚亮『いすみ鉄道公募社長 危機を乗り越える夢と戦略』、松尾貴史『ネタになる統計データ』、小篠綾子『コシノ洋装店ものがたり』、吉田友和『スマートフォン時代のインテリジェント旅行術』、坂井優基『現役機長が答える飛行機の大謎・小謎』、三浦展・菊入みゆき『職場で“モテる”社会学』、碓井孝介『偏差値35から公認会計士に受かる記憶術』、『「男はつらいよ」寅さんロケ地ガイド』、週刊「昭和の鉄道模型をつくる」、ジミー大西『トーテンくんのオーケストラ』などがある。

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