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一日中、菜の花を見ていた

3月17日から22日まで、三連休を挟んで中国南西部に行ってきました。

L.C.C.の春秋航空日本が、成田-重慶路線の就航記念キャンペーンをやっていて、燃油サーチャージ、空港使用料、手荷物10kg込みで、往復1万2240円のチケットが手に入ったからです。

重慶といえば、中国内陸部を代表する工業都市で、そんなに見どころがあるわけでもないのですが、四川省の成都まで高速鉄道で2時間ほどの場所にあります。
その成都と、雲南省の昆明を結ぶ「成昆線」が、山岳鉄道として名高い路線だったので、乗ってみることにしたのです。

3月17日の朝、重慶行きの飛行機に乗り込みます。
私がよく使っている、茨城空港から上海に向かう便は、中国本土の春秋航空(親会社)の運航になり、座席が狭くてリクライニングもしない、航空便としてはもっとも疲れる機材になります。
が、今回の路線は日本法人による運航で、多少背もたれもリクライニングもするので、乗り心地はピーチやジェットスター並みには快適です。
「快適」と言っても、私がL.C.C.ずれしているので、要求レベルが低いのですが…。

成田から約4時間で重慶空港着。
地下鉄と高速鉄道を乗り継いで、夜に成都到着。成都駅で、成都-昆明間の乗車券を購入します。

明日の切符を確保した上で、夕食。
四川料理は辛さが有名なので、お腹を壊すのを防ぐため、ケンタッキーフライドチキンで夕食を摂ります。
「無難に」ケンタッキーに入ったつもりだったのですが、何故かケンタッキーのハンバーガーが他の地方より辛かった。
グローバルなファストフードかと思ったのですが、臨機応変に「現地化」していたようです。
ふだんから辛い食べ物が苦手で、腸が慣れていなかったのか、翌日、お腹を壊しました。

3月18日の朝、昆明行きの快速列車に乗り込みます。
「いよいよ憧れの成昆線へ」とワクワクしていたのですが、1~2時間走った頃、「ちょっと変だ」と気がつきます。
すれ違う列車に、「貴陽-昆明」と運行区間表示板が貼られていたからです。

貴陽というのは、貴州省の省都で、昆明とは方向が違う。
成昆線というのは、成都と昆明の間をダイレクトにつなぐ路線なので、貴陽からの列車とすれ違うことはないのです。
「ありゃりゃ!」と思って地図を見たのですが、どうもその列車は成都から貴州省を経由して、昆明に向かう別ルートを走る列車だったのです。

成都と昆明を結ぶ列車は、すべて成昆線を経由すると思っていた、私の勘違いでした。
後悔先に立たず。
今さら、成都に戻る訳にもいきません。

「ま、そういう失敗はあるさ」と諦めて、その列車で昆明に向かうことにしました。
図らずもに乗った路線ですが、素朴な中国らしい風景が広がっていて、なかなかよかった。

とくに菜の花が、そこここに咲いていて、黄色い絨毯のようでした。
私は、少年時代から菜の花が好きで、自分のなかで理想郷のイメージが、「朧月夜」の1番の歌詞、
~菜の花畠に 入り日薄れ、見わたす山の端 霞ふかし~
が、似合うような田園風景なのです。

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(若干、遮光効果のある窓越しに撮ったせいか、写真が暗めですが)

列車が成都の郊外に出た午前10時くらいから、午後4時くらいまで、ずっと菜の花を眺めていました。
食用、あるいは採油用として、かなりの需要があるんでしょうね。

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まったく期待していなかった風景だし、たまたま開花期に訪問できたということで、「災い転じて福となす」ような、旅の奇遇を感じましたね。

この快速列車は、18日の朝に成都を出て、19日朝に昆明着。
丸一日の行程です。

車内販売で弁当も買えたのですが、香辛料山盛りで食べられそうにありません。

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そこで、出費を覚悟で食堂車へ行きます。
日本からは消滅してしまった食堂車ですが、中国ではふつうに連結されています。
乗客が食事をする場というより、車内販売用の弁当を調理する場として機能しているようです。
作り置きではない料理を提供するあたり、さすが「食の中国」です。

食堂車へ行くメリットとしては、辛くないメニューを注文できること。
メニューを指して、筆談で「是不是辣?」(辛くない?)と聞き、さらに「我不好辣」(私、辛いのが好きではない)と念押しします。
中国語として正しいかはともかく、同じ漢字文化圏のありがたいところで、係員も私の意図を理解してくれて、辛くない料理(肉と茸の炒め)が出てくるわけです。

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お値段は40元(約740円)。
お腹を壊して、何度もトイレに駆け込むことを考えれば、安いものです。

それで、私が乗り込んだのは、「硬臥」と呼ばれる二等寝台車。
3段ベッドが並んでいます。

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(日本の寝台列車との大きな違いは、カーテンがないこと)

日本では、「サンライズ出雲」「サンライズ瀬戸」以外の定期夜行列車はなくなってしまいました。
ヨーロッパでも、ドイツが寝台列車を全廃したとのことです。
先進国では、L.C.C.や高速鉄道、高速バスが発達し、夜行列車はなくなっていく運命にあるようです。

しかしまだ、中国やインドなどの発展途上国では、「飛行機には乗れないけれど、列車なら乗れる」客層がいるようで、あちこちで夜行列車が走っています。
人口も多く、空港のない都市間の移動者もいると思われます。

日本のブルートレインのような風情があるわけではありませんが、線路の幅が広いせいか、乗り心地はなかなかいいのです。

夕方にかけ、列車は貴州省に入ります。
中国でも貧しい地域として知られる貴州省がどんなところなのかと思って見たところ、山がちの地形に、段々畑が山腹まで広がっています。
これだと、自分たちの食べるものはまかなえても、農産物を域外に出荷するのは、難しそうですね。
平野部の大規模農地と比べると、どうしてもコスト高になるので。

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まもなく日も暮れて、やることもないので早めに眠って、朝に昆明着。
帰路分は路線を間違えないよう注意をしながら、成昆線経由成都行きのチケットを購入しました。
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プロフィール

浅井潤水(じゅんすい)

Author:浅井潤水(じゅんすい)
大阪生まれ、5歳より18歳まで奈良で育つ。大阪の大学を卒業後、東京の出版社に就職。総合月刊誌、写真週刊誌、ワンテーマ・マガジン、新書、文庫などの編集に従事した後、現在は知財・契約管理部門勤務。
おもな担当書に、下川裕治『格安エアラインで個人旅行が変わる!』、鳥塚亮『いすみ鉄道公募社長 危機を乗り越える夢と戦略』、松尾貴史『ネタになる統計データ』、小篠綾子『コシノ洋装店ものがたり』、吉田友和『スマートフォン時代のインテリジェント旅行術』、坂井優基『現役機長が答える飛行機の大謎・小謎』、三浦展・菊入みゆき『職場で“モテる”社会学』、碓井孝介『偏差値35から公認会計士に受かる記憶術』、『「男はつらいよ」寅さんロケ地ガイド』、週刊「昭和の鉄道模型をつくる」、ジミー大西『トーテンくんのオーケストラ』などがある。

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