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寅さん、青ガエル、軍艦島…

週末プラスαで、九州を歩いてきました。

今年の夏、中国に本拠を置く春秋航空の、日本法人が国内線にも参入し、成田空港と、佐賀、広島、高松を結ぶ路線を開設しました。

就航PRのためか、すごく安い料金設定のバーゲンがあり、11月の日程を考えながら、とり急ぎ往復約4000円の成田~佐賀間のチケットを、予約・購入しておいたのです。

その後、勤務先の会議日程が変更になり、残念ながら往路分は放棄することになりました。
日程を再考し、ジェットスターの福岡行き片道チケット(約8000円)をあらためて購入。

それでも、先に買った春秋航空の往復分を合わせて、約12000円にて、九州まで往復できたのです。

11月中旬の金曜夜、成田から福岡に移動し、そのまま福岡市内で宿泊。
翌朝、高速バスで別府に向かいました。

別府でレンタカーに乗り換えて、湯平温泉を訪ねます。
湯平温泉は、映画「男はつらいよ」シリーズ第30作『花も嵐も寅次郎』の、ロケ地としても有名です。

この作品は、寅さんの映画というより、田中裕子さん演じる榮子と、沢田研二さん演じる三郎の、恋物語としての側面が強い。

当時、大スターだった沢田研二さんが、奥手の男(動物園の飼育係)を演じ、これがとても上手いのです。
田中裕子さんも、清楚で控えめな女性(デパートの販売員)を好演していて、思わず感情移入してしまいます(二人は、のちに実生活でも結婚)。

そんな二人が出会ったのが、湯平温泉。
石畳の細い坂道が、温泉としての長い歴史を物語っているようです。

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螢子と友達が、三郎を偶然見かけた階段もそのまま残っています。

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実は、この訪問で参考にし、持っていったのが、『男はつらいよ 寅さんロケ地ガイド』という本でした。
当ブログでも紹介しましたが、昨年、私が担当した本です。

自分たちで編集したガイドブックを持って旅をするのも、何だか不思議な気分でした。

私は長い間、編集の仕事をやってきましたが、趣味の「旅」絡みの仕事は30分の1もなくて、ガイドブックとしてまとまっているのはこれが唯一。

学生時代はJTBの出版部門(現在のJTBパブリッシング)で働きたいと思っていたのですが、私が就職活動をした当時、JTB本体とJTBパブリッシングはまだ分社化されておらず、JTBに入社してから出版部門に配属になるのは、「異動の希望者が多くて、きわめて難しい」と人事部の人に言われていました。

で、JTBの内定を辞退して、旅の本にあまり力を入れていない総合出版社に入社したわけです。

そんな昔話を思い出し、映画のシーンを思い出し、この本の編集で山田洋次監督のご指導を受けたことなども思い出しながら、階段の下でぼんやり佇んでいました。

土曜日は別府で宿泊し、翌朝、JRで熊本に向かいます。
豊肥本線の特急列車には、結構な数の外国人観光客が乗っていました。
阿蘇のカルデラを横断する勇壮な景観は、外国人にも知られているようです。

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(盆地状の部分がカルデラで、手前と背後の山は外輪山)

ちょっと驚いたのが、客室乗務員による行き先や到着時刻案内の後、英語でも肉声のアナウンスが入ったことです。

日本で、列車の車掌が、英語でアナウンスするのを聞いたのは初めてでした。
JR九州でも、長崎から博多に向かう特急「かもめ」号では、肉声の英語アナウンスはなかったので、豊肥本線の「九州横断特急」での先行的な試みなのかもしれませんが、JR九州もなかなかやるものです。

熊本では、熊本電鉄というローカル私鉄に乗ってきました。
この鉄道の、北熊本駅と上熊本駅の間には、かつて東急東横線などを走っていた「青ガエル」が、現役で使用されています。

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この車両は1954年から東横線で使われ、航空機の技術を応用した曲線的なデザインで親しまれました。

渋谷駅前に、待ち合わせ場所兼展示スペースとして置かれてる車両と同じ型ですが、登場後60年を経て、熊本ではいまだに現役として使われているのです。

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(内装も、昭和っぽいモダンな雰囲気)

日曜日は、熊本から、有明海を横断するフェリーと、島原鉄道とJRを乗り継ぎ長崎へ。
そして休暇を取った月曜日に、軍艦島を訪れるツアーに参加しました。

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軍艦島(端島)に関しては、あらためて説明するまでもないと思いますが、海底炭鉱の採掘のために住宅、学校などが狭い島に整備され、最盛期には約6000人が暮らしていました。
1974年の炭鉱閉山後まもなく、全員が島を去り、島全体が廃墟となっていたのです。

15年ほど前から、写真集などでシュールな景観が話題となり、廃墟ブームと相まって、公開を求める声が次第に大きくなりました。
それで、長崎市が安全策を講じたうえで、2009年から一般公開されることになったのです。

平日にもかかわらず、軍艦島見学の船は、ほぼ満員でした。

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上陸して、40分ほど島内の見学時間があったのですが、見学通路が安全な場所にしか設置されていないので、写真集などで間近に見られた高層アパート跡などには近寄ることができません。

廃墟は絶えず崩落の危険があるそうなので、安全上しかたないのですが、あまり期待して行かないほうがいいと思います。

それよりも驚いたのが、2階のデッキを含めて、客を船一杯に乗せることです。

この日は途中で雨が降ってきて、私は一人旅だったので、一目散に1階の屋根のある場所に避難しました。しかし、グループで来ているお客さんは、すでに満員の1階客室に降りることもままならず、200円のレインコートを船会社から購入し(傘を差すことが禁じられていました)、2階デッキで雨風にさらされることになったのでした。

定員分のライフジャケットは用意されていたようなので、違法航行ではないと思うのですが、「軍艦島クルーズ」という名とは裏腹に、寒い季節に雨が降ると、ほとんど「難民船」の様相でした。

皆さんが軍艦島へ行かれる際にも、「周到な準備」または「困難にめげない覚悟」が、必要かと思いましたね(苦笑)。
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プロフィール

浅井潤水(じゅんすい)

Author:浅井潤水(じゅんすい)
大阪生まれ、5歳より18歳まで奈良で育つ。大阪の大学を卒業後、東京の出版社に就職。総合月刊誌、写真週刊誌、ワンテーマ・マガジン、新書、文庫などの編集に従事した後、現在は知財・契約管理部門勤務。
おもな担当書に、下川裕治『格安エアラインで個人旅行が変わる!』、鳥塚亮『いすみ鉄道公募社長 危機を乗り越える夢と戦略』、松尾貴史『ネタになる統計データ』、小篠綾子『コシノ洋装店ものがたり』、吉田友和『スマートフォン時代のインテリジェント旅行術』、坂井優基『現役機長が答える飛行機の大謎・小謎』、三浦展・菊入みゆき『職場で“モテる”社会学』、碓井孝介『偏差値35から公認会計士に受かる記憶術』、『「男はつらいよ」寅さんロケ地ガイド』、週刊「昭和の鉄道模型をつくる」、ジミー大西『トーテンくんのオーケストラ』などがある。

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