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チベット

ゴールデン・ウィークに、中国のチベット自治区などを巡ってきました。

チベットは、ラサへの鉄道が開通した2006年から訪れる機会をうかがっていたのですが、鉄道チケットが入手困難だったり、グループでないと入域許可証が出ない時期があったりで、延び延びになっていました。

それがここ数年、中国の鉄道チケットがインターネットで購入できるようになったので、行ってみることにしたのです。

中国本土は現在、日本人は基本自由に旅行ができるのですが、チベット自治区は別扱い。
宿泊先とガイドの手配をしたうえで、旅行会社経由で入域許可書を発行してもらう必要があります。

日本の旅行会社で手配すると料金が高くなるので、成都にある「四川省中国省青年旅行社」に手配を依頼します。
チベット手配に慣れている会社で、日本語での相談ができます。

ラサに夜到着、2日目は市内観光、3日目の朝にラサ出発という旅程で、ホテル代、食事3食、ガイド代と観光地の入場料、チベット自治区の入域許可証発行手数料込みで10万8000円でした。
ふだんの旅行と比べると、割高な出費となります(ちなみに何人かで一緒に行けば、一人当たりの費用はもう少し安くなる)。
が、こうしないとチベットには行けないので、出費は仕方ないかと。

4月27日、成田から成都に向かいます。
成都で、旅行会社から入域許可書を受け取り、少し市内を観光します。

訪れたのは武候祠。蜀の軍師・諸葛亮を祀った場所ですが、劉備、関羽、張飛も祀られています。
日本でも、漫画などで『三国志』の知名度は高いですが、本国でももちろん有名で、多くの来場者で賑わっていました。
ちなみに、諸葛亮や劉備の像に祈っている人はおらず、信仰の対象にはなっていないようでした。

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(諸葛亮の像)

その夜、成都から夜行列車に乗って、青海省の西寧に向かいました。
青海省はチベット自治区の手前にあり、西寧も2300メートルの高地にあります。
西寧の後、標高3700メートルのラサに行くので、準高地の西寧で身体を慣らしておこうと思い、日中9時間ほど過ごしたのです。

西寧は、シルクロードの中継地でもあり、イスラム教徒である回族も多数暮らしています。
市内にはイスラム寺院もあり、なかなかエキゾチックな雰囲気が漂っていました。

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西寧の安宿でシャワーを浴びてひと休みした後、ふたたび列車に乗ってラサを目指します。

西寧→ラサ間の路線は「青蔵鉄道(青蔵鉄路)」と呼ばれ、標高5000メートルの世界最高所を走る旅客列車として、人気があります。私がこれまでに乗車した鉄道でもっとも高所を通っていたのが、ペルーのプーノとクスコ間の鉄道で、標高4300メートルだったので、今回、「究極の高原鉄道」を楽しみにしていたのです。

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標高が高く、雨が少ないせいか、樹木はほとんどなく、草原が多くの面積を占めます。
4月末というのに、池や川は氷結していることもままあります。
さすがに日中は氷点下ということはないのですが、冬の寒さが厳しいせいか、氷がなかなか溶けないようです。

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延々と続く高原の車窓を眺めて思ったことは、「こんな場所に、よく鉄道を通したな」ということです。
どう見ても人口密度は低いし、これといった産業もないせいか、貨物列車もそれほど見ません。
中国本土からの観光客は1日6~7本の列車に数多く乗っているので、それで採算を取っているのかもしれません。

ちなみに、往路は2等寝台(硬臥)が取れず、1等寝台(軟臥)を使ったのですが、乗客はほぼ漢民族でした。
どちらかと言えば、漢民族によるチベットへの同化政策で、鉄道が通されたような気もします。

列車は4月29日の夕方に、ラサ到着。

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ラサ駅でガイドにピックアップしてもらって、ホテルに送ってもらいました。

30日はガイドと一緒にラサ市内観光。
ポタラ宮、ジョカン(大招寺)などを訪ねます。

ポタラ宮は、チベットの象徴的な建物として有名ですが、小高い丘を覆うように建てられた複雑な造形は、やはり見応えがあります。

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標高3700メートルの空気の薄いラサで、さらに全高110メートルのポタラ宮を登っていくのは、息苦しかった。
登った先の宮殿内部もチベットらしい雰囲気に満ちていたのですが、残念ながら撮影禁止でした。

思ったのが、ポタラ宮が王宮なのか宗教施設なのか、判然としないこと。
元々チベットの最高指導者は、ダライ・ラマなのですが、世襲ではなく、域内で宗教指導者として選ばれた人が就任するので、ふつうの王族とは異なります。
政教一致というか、ローマ法王がバチカン市国の元首も兼ねるようなイメージかもしれません。
で、ポタラ宮も、政務を行う場所と、祈りや修行を行う場所が、混在しているのです。
宗教的権威と、政治的権威が一体化するのは、昔はよくあったので、それほど不思議ではないかもしれませんが……。

午前にポタラ宮を見た後、旧市街で昼食。
ラサの旧市街は、一見チベット風の装飾が施されています。
チベットの伝統的な町並みのようにも見えるのですが、実際には鉄筋コンクリートのビルに、チベット風の装飾が施されているだけでした。

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中国でもカシュガルや麗江などの旧市街は、ずっと昔からの景観を保っているのですが、ラサの場合は、たんにチベットをイメージした町並みなのかもしれません。

チベット料理も食べました。
チベット風焼き飯と、アラカルトを1品頼んだのですが、正直、あまりおいしくはありませんでした。
作物が限られるので、料理文化が深化しなかったのかもしれません。

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午後はジョカン(大招寺)へ。
ラサのチベット仏教寺院として、もっとも歴史と格式があります。

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ここも建物内部は撮影禁止でした。
ただ、一般のチベット民族が礼拝している堂宇だけは、特に規制がなかったようなので、写真を撮ってきました。

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チベット仏教の礼拝は、「五体投地」といって、立礼から身前に体を投げるように倒して伏します。
私も世界のあちこちで人々が礼拝する姿を見てきましたが、チベット仏教の礼拝は、相当激しい部類に入るような気がします。

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たまたま居合わせた団体旅行の日本語ガイドの話では、チベットの他の地域から、五体投地をしながらラサのジョカンを目指す巡礼者もいるそうです。
私も実際にラサ市内で、五体投地をしながら、尺取虫にように前進している巡礼者を見ました。

2年前に、同じようにチベット仏教を信仰しているインドのラダックを訪ねたことがあったので、ラサの建物には既視感があったのですが、ラダックでは人々が五体投地している姿はあまり見ませんでした。
なので、ジョカンで多くの人々が五体投地をしている姿を見て、ようやくチベットに来たという感慨が湧いてきたのです。

ただ、最初に述べたように、ガイド付きのチベット滞在は、かなりの費用を要するので、感慨に浸る余裕もあまりなく、翌朝にはラサを離れた訳なのですが。

話が長くなるので、この旅の後半部分は、稿をあらためることにしたいと思います。
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プロフィール

浅井潤水(じゅんすい)

Author:浅井潤水(じゅんすい)
大阪生まれ、5歳より18歳まで奈良で育つ。大阪の大学を卒業後、東京の出版社に就職。総合月刊誌、写真週刊誌、ワンテーマ・マガジン、新書、文庫などの編集に従事した後、現在は知財・契約管理部門勤務。
おもな担当書に、下川裕治『格安エアラインで個人旅行が変わる!』、鳥塚亮『いすみ鉄道公募社長 危機を乗り越える夢と戦略』、松尾貴史『ネタになる統計データ』、小篠綾子『コシノ洋装店ものがたり』、吉田友和『スマートフォン時代のインテリジェント旅行術』、坂井優基『現役機長が答える飛行機の大謎・小謎』、三浦展・菊入みゆき『職場で“モテる”社会学』、碓井孝介『偏差値35から公認会計士に受かる記憶術』、『「男はつらいよ」寅さんロケ地ガイド』、週刊「昭和の鉄道模型をつくる」、ジミー大西『トーテンくんのオーケストラ』などがある。

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