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明治時代の幼稚園

6月上旬に大阪へ行ってきました。
子供の頃に通っていた、幼稚園の親睦会に出るためです。

この幼稚園は、大阪市立愛殊(あいしゅ)幼稚園といって、明治13(1880)年の創立。東京高等師範学校附属幼稚園(現・御茶の水女子大学附属幼稚園)などに次いで、全国で3番目に長い歴史を持っています。

現在の園舎は明治34(1901)年の竣工で、築112年。日本最古の現役幼稚園舎です。

この幼稚園には、大人になってから、何度か門前まで行ってはみたものの、セキュリティの関係で園内には入れませんでした。そこで卒園生中心の親睦会に入会し(私は5歳で奈良に転居したので、卒園生ではありませんが)、その総会への出席ということで、園内立ち入りがようやくできたのです。

建物などのレイアウトは、現代の幼稚園とあまり変わりがありません。
園庭を囲むように園舎があり、廊下の先に講堂があります。

これは明治時代に、船場の町会が商人から寄付を集めて、ヨーロッパから幼稚園のノウハウを導入して、建てたからです。
外から見ると寺院みたいな和風建築なのですが、現代にも通じる構成になっているのです。

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(外観)

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(廊下と教室。向かって左側が園庭)

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(講堂)

実に久しぶりに園舎に足を踏み入れると、子供の頃の空気を吸っているような、なつかしい感覚になりました。

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(園舎とともに、重要文化財に指定されているグルグル滑り台)

私は、子供の頃の記憶が4歳ぐらいからあるのですが、生家は人手に渡って現存せず、日曜日の遊び場だった三越大阪店は阪神淡路大震災で本館が使用不能になった後に閉店し、中之島公園はリニューアルされて、当時の環境がそっくり残っているのは、この幼稚園くらいしかありません。
そういう意味で、タイムスリップしたような、なごやかな雰囲気を味わってきたのです。

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(出し物は、なぜかサックスのアンサンブル)

この幼稚園が、なぜ現存しているかというと、船場商人の寄付を集めて建てたので、良質な木材を使っていることと、奇跡的に戦火を免れたからです。
幼稚園の隣には、緒方洪庵創立で、大村益次郎や福沢諭吉が学んだ蘭学塾「適塾」の建物も江戸時代から現存しています。

周囲はオフィス街で、近くには日本生命の本店などもあります。
高層ビルに囲まれた、明治時代から現存する幼稚園……。
100年前から時の流れが止まっているかのような、不思議な空間なのです。

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プロフィール

浅井潤水(じゅんすい)

Author:浅井潤水(じゅんすい)
大阪生まれ、5歳より18歳まで奈良で育つ。大阪の大学を卒業後、東京の出版社に就職。総合月刊誌、写真週刊誌、ワンテーマ・マガジン、新書、文庫などの編集に従事した後、現在は書誌情報の管理部門勤務。
おもな担当書に、下川裕治『格安エアラインで個人旅行が変わる!』、鳥塚亮『いすみ鉄道公募社長 危機を乗り越える夢と戦略』、松尾貴史『ネタになる統計データ』、小篠綾子『コシノ洋装店ものがたり』、吉田友和『スマートフォン時代のインテリジェント旅行術』、坂井優基『現役機長が答える飛行機の大謎・小謎』、三浦展・菊入みゆき『職場で“モテる”社会学』、碓井孝介『偏差値35から公認会計士に受かる記憶術』、『「男はつらいよ」寅さんロケ地ガイド』、週刊「昭和の鉄道模型をつくる」、ジミー大西『トーテンくんのオーケストラ』などがある。

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