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チャリンコ王国

(ブラジルに到着してから、サンパウロでもリオデジャネイロでも、ネットカフェで自分のパソコンが使えない状況が続いていました。現在、ブログの更新が遅れております。まずは、大西洋横断前のオランダの話から)

アムステルダム。
意外にいい街でした。

ここは、20歳のとき一度来たことがあり、当時はどこか荒廃した雰囲気が漂っていました。
ゴミや落書きが目立っていて良い印象がなく、それ以降訪れることはなかったのです。

今回はフライトの都合で滞在したのですが、21年前より人々の表情が明るくなっていました。
経済状況が好転したようです。
この国は、フルタイマー(日本で言うところの正社員に近いでしょうか)とパートタイマーの賃金差別がないなど、ポジティブな文脈で語られることも多い。

日本では「パートタイマーの賃金は安い。正規労働者を減らしてパートや派遣を増やせば企業の経営効率が上がる」という前提で、経済が成り立っています。
アメリカやイギリスでもそうでしょう(それでもオランダ以外の欧米諸国は最低時給を1000円以上に引き上げているが、日本では小幅な上昇に留まっている。ここ数ヶ月で為替レートが変動したので、今はどうだか知りませんが……)。

フルタイマーとパートタイマーの時間当たりの賃金を同じにして、どうして経済が成り立つのか、国際競争力を保てるのか、たぶん誰かは調べているのでしょうが、レポートなどを読んだことがありません。
私の語学力と、実質1日の滞在では、そんな難しい話は聞けませんでしたが(歩いている市民に、そんな話を聞くのも変なような気がして)、どなたかご存知の方がいれば教えてください。

というのは、この街も外国人労働者や移民が多い。
彼らの表情が、パリより明るいのです。浜松の日系人よりも明るい。
外国人労働者や移民は、語学力や学歴面など不利なのでパートタイマーの割合が多いとすれば、パートの待遇がいいのが、表情を明るくしている一因かもしれません。
また、古くからの海洋国家として、異民族を受け入れる伝統があるからかもしれません。

アムステルダムといえば「運河巡り」が定番の観光コースなのですが、街並みをを川側から見てもつまらないこと(現代では、人々の生活は道路に向き合って営まれている。イタリアのベネチアは別かもしれませんが)はパリで実感したので、路面電車の1日券を買って、乗ったり降りたりしながら街を散策しました。

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オランダの建物は、外壁が赤いレンガで覆われています(構造体がレンガかもしれません)。
これが、パリやブリュッセルの石造りの建物と比べると、暖かい印象を与えるのです。
そして、海に近くて暖流の影響を受けているせいか、体感的にもパリほどは寒くない。

よく言われることですが、オランダは「自転車王国」です。
市街の道路には専用レーンがあって、次々と自転車が通りすぎていきます。
自転車と路面電車が市内交通の主役で、環境にやさしい印象がする。
そして、自動車に頼らない街づくりを進めているためか、中心部の商業は栄えています。

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アムステルダムは人口74万人。市街の規模は広島や仙台、あるいは京都の旧市街(左京区、右京区、上京区、下京区あたり)と同じくらいでしょうか。
日本で自転車は行政にとって「駅前放置問題」など、あまり好ましく見られていないようですが、中都市では「自転車+路面電車」の組み合わせで、中心部を活性化する街づくりができるのではないかという気がします。
予算がないなら、自転車保有に年3000円くらいの課税をして、それを原資に環境整備をすればいいのですよ。

路面電車に乗っているうちに、露天市のようなものを見つけてブラブラしたり、「WE」というドイツ資本のユニクロのような店で買い物をして過ごしました。

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(露天商の招き猫)

ラオスでガムがついたフリースは、代替品をパリでも探したのですが、結局見つかりませんでした。ヨーロッパ人はほとんどフリースを着ないようです。軽くて暖かくて便利なのに。パリでもアフリカ系の人が着ているのは見ましたが、「安物で実用的な衣料品」と思われているのかもしれません。

「WE」で購入したのは、Tシャツと下着。これまで肌着6回転だったのを、1セット増やして、7回転に変更したのです。

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私は割と清潔好きで、肌着は原則1日で交換します。バックパッカーとしては軟弱かもしれませんが、そういうことにしています。
しかも手洗いはしなくて、ホテルのランドリーサービスか、最低でもコイン式ランドリーを使うのです。

何故そんなことにこだわるかというと、20年前に世界一周したときに、北米にいた6週間と西欧にいた3週間以外の都合6ヶ月間、洗濯物はすべて手洗いで、それがあまりに大変だったので、すっかり「手洗い嫌い」になったからでした。

皆さんも、1ヶ月間ほど洗濯物を手洗いしてみるとわかると思いますが、家事のなかで洗濯が一番大変です。
私は、家電のなかでは洗濯機が一番好きです。
洗濯機が回っているだけで、幸せな気持ちになります。

日本で洗濯機が普及した昭和30年代、手洗いのことは揶揄的に「洗多苦」と言われていたそうです。だから「3種の神器(洗濯機、冷蔵庫、白黒テレビ)」のなかで、洗濯機が最初に普及しました。

ところで、20年前の世界一周旅行の話が出たついでに、そのことをもう少し詳しく書きます。

1988年。私は関西にある私立大学の3回生を終えて1年間休学し、8ヶ月間の旅に出ました。

その大学の付属高校からエスカレーター式に進学して、ふつうに卒業すれば22歳で就職。人生が「1本のレール」のように見えてしまって、ちょっと脱線したくなったのです。

大学の「休学」は片岡義男の『メイン・テーマ』という小説から、「世界一周」は沢木耕太郎の『深夜特急』という旅行記から、着想を得ました。

資金は50万円は自分で調達して、70万円は親から借りました。

近年でこそ、世界一周旅行をする人はそれほど珍しくなくなりましたが、20年前にそんなことを考える人はいませんでした。
出発前に「行く」と言うと、「本当にそんな事ができるのか?」という質問を浴びたものです。
友人の間では「ちゃんと帰ってくる」「なし崩し的に放浪を続けて、帰ってこない」と2説に分かれて、賭けが成立していたとのこと。

当初、「バンコックに行けば、世界一周航空券が売られている」という情報があり、当地で世界一周航空券のことを調べたのですが、あまり使い勝手がよくなかったので、格安航空券を買い足して、回ることにしたのです。

大旅行への緊張感と、バンコックの猛暑、辛いタイ料理への食物不適合のため体調を崩したので、日本で3週間ほど休養してから、サンフランシスコへ飛びました。ロス、ラスベガス、グランドキャニオンとアメリカ西部を回ってから、バスで大陸を横断し、トロント、ナイアガラの滝、プリンス・エドワード島、ボストン、ワシントンDC、ニューヨークなど、カナダとアメリカの東部を回りました。

その後、南米大陸に入り、ブラジル(リオデジャネイロやサンパウロ)、ボリビア、ペルー(クスコやマチュピチュ)、チリ、アルゼンチン(パタゴニア)を2ヶ月かけてほぼ陸路で周遊。
飛行機で一度、NYに戻ってから、今はなきパンナムに乗ってパリへ。

ヨーロッパはフランス、ベルギー、西ドイツ、スウェーデン、ノルウェー、スイス、オーストリア、ハンガリー、ユーゴスラビア(現在のクロアチア、ボスニアなど)、ブルガリア、トルコと巡りました。

イスタンブールから、エジプト(ピラミッド、ルクソール、アブジンベルなど)に足を運び、さらにインド(タージマハール、バラナシなど)、ネパール(ポカラ、カトマンズなど)を巡りました。そしてインドのコルカタから、タイ経由で帰国したのです。
帰国は1989年の春。元号が平成に変わっていました。

世界一周を終えて、何か自分が変わったかというと、はっきり言えるものはありませんでした。
タフになった、駆け引きが上手くなった、そんなところでしょう。

それ以前に、私には大学3回生まで、考えていた卒業後の進路がふたつあって、どちらにしようか迷っていました。試験の難しさを考えると、両方目指すのは無理。それを8ヶ月間考えて、ひとつに絞ることができました。それがだいたい今の職業です。

この言葉はあまり好きではありませんが、「自分探し」の旅だったかもしれません。

あと、「外国は疲れる。日本が一番住みやすい」という結論に達したことが収穫かもしれません。風呂があるし、吉野家の牛丼もあるし、洗濯機もありますから。

なので、どんなに仕事が辛くても、会社を辞めて放浪に出ることはなかった。
海外の行きたい場所はだいたい行き尽くしてしまって、どこにも「青い鳥」はいないことが判った。ならば、今いるところで頑張るしかない。
そんなこんなで、卒業後に就職した会社で18年半も働いているのだと思います。

ともあれ、これから旅行の最大の山場である南米です。

貧富の差が大きくて、旅行者を狙った犯罪が多い。英語も通じない。

あと、1ヶ月弱。
気をつけて旅行を続けます。
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プロフィール

浅井潤水(じゅんすい)

Author:浅井潤水(じゅんすい)
大阪生まれ、5歳より18歳まで奈良で育つ。大阪の大学を卒業後、東京の出版社に就職。総合月刊誌、写真週刊誌、ワンテーマ・マガジン、新書、文庫などの編集に従事した後、現在は書誌情報の管理部門勤務。
おもな担当書に、下川裕治『格安エアラインで個人旅行が変わる!』、鳥塚亮『いすみ鉄道公募社長 危機を乗り越える夢と戦略』、松尾貴史『ネタになる統計データ』、小篠綾子『コシノ洋装店ものがたり』、吉田友和『スマートフォン時代のインテリジェント旅行術』、坂井優基『現役機長が答える飛行機の大謎・小謎』、三浦展・菊入みゆき『職場で“モテる”社会学』、碓井孝介『偏差値35から公認会計士に受かる記憶術』、『「男はつらいよ」寅さんロケ地ガイド』、週刊「昭和の鉄道模型をつくる」、ジミー大西『トーテンくんのオーケストラ』などがある。

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